主婦shcatのつれづれ日記(めざせ整理収納アドバイザー)

趣味の心理学や読書、整理収納について、ペットや子育て、PTAなど雑記

『ノルウェイの森』をアラフォーになって読み返してみた(感想)

人生2度目の『ノルウェイの森』感想

長くなりすぎたので

記事を分割しています。

前半はこちらをお読みください。

後半は感想のみです。

 

shcat.hateblo.jp

 

読み始めた印象。
やはり難解。
昔読んだ時に抱いた印象とおそらく変わらず、
今一つ、何が言いたいのかが分かりにくい。

 

ただ、私はこの村上春樹の表現方法は
とても好きで
そのことだけは読み始めてすぐに思い出した。
こんな表現方法があったのか、と
目から鱗が落ちるような
不思議な興奮である。

 

うまく説明できないけれど
情景がすんなりと頭に浮かんでくるのだ。
カラーなのは勿論、空気の湿度や周囲の音まで、
まるでその場にいるかのような気持ちになる。

 

ちなみに映画の『ノルウェイの森』は
観ていないので、その記憶ではない。

 

この翻訳調な感じが苦手だという方も
多いようだが
そのおかげなのだろうか。
単に相性の問題なのだろうか?

 

しばらく読み進めていき
実は下巻の前半あたりで脱落しかけた。
(第7章、緑の父親が死ぬあたり)
お世辞にも面白いとは思えないまま
何となく読んできてしまい
時間の無駄か?と思い始めて
しまったからだ。

 

ここで一旦ストップしたのが良かったのか
分からないが
ここからは逆に目が離せなくなった。
特に、ワタナベが寮を出て引っ越した
あたりから。
どうにも続きが気になってしかたない。

 

何故なのかを考えてみたけれど
おそらく2点ある。
ワタナベの心理描写が明らかに人間味を帯びてきたからだ。

 

 ①ワタナベの孤独と辛さ

 

 

このあたりから、ワタナベは
緑と連絡が取れなくなり
直子の病状も悪化していき
孤独に耐える日々を送り始める。

 

快方に向かっていると思っていた直子との
生活を夢見て移り住んだ住まいで一人、
悪化しいていく直子を思い

共に生活することはおそらくできない、
という受け入れたくない現実を
認めざるを得ない辛さ。

 

すぐそばにいる、生身の緑の方へ
惹かれていく自らを認めたくない、
直子にも緑にも申し訳ない、
揺れ動き葛藤する辛さ。

 

そして唯一の身近な支えだった
緑との連絡も取れなくなり
改めてその存在の大きさに気づくものの
もう取り返せない喪失感による辛さ。

 

1人で過ごす春の切なさと淋しさ。
「手紙を書くことで、
バラバラに崩れてしまいそうな生活を
ようやくつなぎとめているみたいだった」
などの描写はとても刺さる。

 

上手くいかない、空回りする、やるせない
何とも言えない気持ち。

このワタナベの孤独感や辛さを
読者に共感させるために
ここまでダラダラと引っ張ってきたのか。
(失礼)

 

主人公ワタナベの性格柄、
あまり主体性を感じないので
何となく周りに流されて
生きているようにしか感じられず
感情移入のしようがなかった。

そうしてワタナベの人間味を感じさせずに
物語は淡々と展開してきたけれど
ここに来て、ワタナベの孤独や辛さが
フォーカスされて
一気に人間味を感じられるようになったことで
読者も感情移入しはじめるのだと思う。

 

 ②直子を失った哀しみ

 

読者の嫌な予感通り、
直子は自ら命を絶ってしまう。
直子を失い、ワタナベの孤独は
最高潮に達する。

 

「死は生の対極にあるのではなく、
我々の生のうちに潜んでいるのだ」
ということはキズキの死により
前半からワタナベの考えとして
存在していたが

 

直子の死により、
「愛する者を亡くした哀しみは
何をもってしても癒すことはできない。
哀しみ抜いて、そこから何かを
得ることしかできないし
そしてその学びとった何かも、
次の予期せぬ哀しみには
何の役にも立たない」
と考えるようになる。

 

直子を亡くした喪失感。
そして、ずっと心の奥底にあった
キズキへの嫉妬心。
大切な2人を失った哀しみ。
それでも生き続ける決意をするワタナベ。

 

この心理描写の静かな迫力に関しては
過去、幾度となく様々な作品で見てきた
死別の苦しみを描いたシーンの中で

個人的にはかなりの上位に食い込む
強い印象を残した。

 

個人的には、特に下巻11章、
あてもない旅から
帰宅した際のワタナベが、
キズキに対して語りかけている部分が好きだ。

 

そしてその部分の最後
「ときどき俺は自分が博物館の管理人に
なったような気がするよ。
誰一人訪れるものもないがらんとした
博物館でね、俺は俺自身のために
そこの管理をしているんだ」

という表現は、2人を失っても
これからも自分はその死を含めて
生きていくという決意を
こんなふうに表現できるのか、と
感心してしまった。

 

正直、何故レイコさんと寝たのかなど
少し理解に苦しむ部分はあるし
(これから生きていく人たち、という
意味であれば緑でも良かったはずだし)

ラストシーンはどういうことなのか
今一つよく分からないままだけれど

 

とにかく、脱落せずに
最後まで読んでよかったと純粋に思えた。

 

というわけで、もし『ノルウェイの森』を
読もうという方がいらっしゃったら
私から言えることは

4分の3くらいまでは
正直あまり面白くないかもしれないけれど
頑張って最後まで読んでください(笑)。

いわゆる「ハルキスト」の方々は
どう感じてるのだろう?
また今度感想とか調べてみよっと、と思った。

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